
吹田市・江坂にある大永法律事務所には、「遺産分割の具体的な進め方を知りたい」「相続トラブルを避けるための注意点は?」といった様々なご相談が寄せられています。
そこで今回は、相続をさせたくない人がいる場合について、分かりやすく解説していきたいと思います。
相続権を制限する方法は?
相続問題において、特定の相続人に財産を渡したくないと考える方は少なくありません。しかし、相続権を一方的に奪うことは法律上難しいのが現状です。
今回は、相続をさせたくない人がいる場合の対処法について、具体的な方法とその注意点を解説していきます。
まず、相続権を制限する方法としては、次のようなものが挙げられます。
遺言による相続分の指定
遺言書を作成し、特定の相続人の相続分をゼロと指定することで、その人に相続させないようにすることができます。ただし、遺留分を持つ相続人(配偶者、子、直系尊属)に対しては、完全に相続を阻止することはできません。
遺贈または死因贈与の活用
すべての相続財産を第三者に遺贈したり、死因贈与したりすることで、相続させたくない人に相続財産が渡らないようにする方法があります。しかし、この場合も遺留分権利者からの請求により、最低限の相続がなされる可能性があります。
相続人の廃除
被相続人に対する虐待や重大な侮辱、著しい非行があった場合、家庭裁判所に相続人の廃除を申し立てることができます。廃除が認められれば、その相続人は相続権を失います。ただし、廃除の要件は厳しく、認められるケースは限られています。
生前贈与の活用
相続させたい人に対して生前贈与を行うことで、相続財産を減らし、相続させたくない人が受け取る遺産額を減らすことができます。ただし、相続開始前10年以内の贈与は特別受益として扱われる可能性があるため、注意が必要です。
遺留分への対応
遺留分を持つ相続人(配偶者、子、直系尊属)に対しては、完全に相続を阻止することは困難です。しかし、以下のような対策を取ることで、相続額を最小限に抑えることができます。
- 遺言で遺留分相当額のみを相続させる
- 遺留分を侵害しない範囲で他の相続人や第三者に財産を譲る
- 生前贈与を活用して相続財産を減らす
相続欠格制度について
相続欠格制度は、被相続人を殺害したり、遺言を偽造したりするなど、重大な犯罪行為があった相続人の相続権を自動的に失わせる制度です。ただし、この制度は極めて限定的な場合にのみ適用されます。
注意点と留意事項
相続の制限を検討している場合は、次のことに注意が必要です。
遺留分侵害額請求への対応
遺留分を持つ相続人に対して相続を制限する場合、遺留分侵害額請求をされる可能性があります。この場合、最低限の相続額を支払う必要が生じるため、あらかじめ遺留分相当額を考慮した対策を立てることが重要です。
代襲相続への注意
相続人を廃除しても、その相続人の子供が代襲相続する可能性があります。完全に相続を阻止したい場合は、この点にも注意が必要です。
特別受益の持ち戻し
生前贈与を活用する場合、特別受益の持ち戻しが行われる可能性があります。これを回避するには、遺言書で持ち戻しをしない旨を明記する必要があります。
相続問題でお悩みがあれば、当事務所にご相談ください

相続問題は、相続人間の関係や、家族の将来に大きな影響を与える問題です。相続をさせたくない人がいる場合も、慎重に対策を検討し、適切な方法を選択することが大切です。
当事務所は、相続問題に関する豊富な実績を持つ弁護士が、法的観点から依頼者様をサポートいたします。相続をさせたくない人がいる、遺留分侵害額請求などのリスクを最小限に抑えたいなど、相続に関するお悩みがある方は、一度当事務所にご相談ください。