吹田市・江坂にある大永法律事務所には、「遺産分割の具体的な進め方を知りたい」「相続トラブルを避けるための注意点は?」といった様々なご相談が寄せられています。
そこで今回は、遺産相続で遺産をもらえない場合について、分かりやすく解説していきたいと思います。
相続で遺産をもらえないケースとは?
遺産相続では、さまざまな理由により、法定相続人であっても遺産を受け取れない状況が発生することがあります。
今回は、遺産をもらえない可能性がある状況とその対処法について、解説していきます。
1.遺言により指定されなかった場合
遺言が存在する場合、その内容が法定相続分よりも優先されます。そのため、遺言で特定の相続人のみに財産を相続させる指定がなされていると、他の相続人は遺産を受け取れない可能性があります。
■対処法
遺留分の請求 遺言により遺産を受け取れない場合でも、遺留分を請求することで最低限の相続分を確保できる可能性があります。
なお、遺留分とは、法定相続人に保障された最低限の相続分です。
配偶者と子の遺留分は法定相続分の2分の1、直系尊属の遺留分は法定相続人が親のみの場合で法定相続分の3分の1です。
2.生前贈与により財産が残っていない場合
被相続人が生前に特定の人に財産を贈与してしまい、相続時に財産が残っていないケースがあります。
■対処法
すべての生前贈与が遺留分の対象となるわけではありませんが、以下の条件に該当する場合は遺留分侵害額請求が可能です。
・死亡前1年以内に行われた贈与
・死亡前10年以内に相続人に対して行われた特別受益にあたる贈与
・贈与者と受贈者双方が、遺留分権利者に損害を与える意図で行った贈与
3.他の相続人が遺産を渡さない場合
相続人の一人が遺産を独占し、他の相続人に渡そうとしないケースがあります。
■対処法
話し合いで解決できない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。
調停では、中立的な立場の調停委員が間に入り、合意形成を支援します。
調停で解決しない場合は、審判に移行することもあります。
4.遺産の隠匿や使い込みがあった場合
相続人の一人が遺産を隠したり、無断で使い込んだりするケースがあります。
■対処法
不当利得返還請求または遺産分割調停
生前の使い込みの場合は「不当利得返還請求」、死後の使い込みの場合は「遺産分割調停」を行います。
いずれの場合も、使い込みの証拠収集が重要です。預金通帳のコピーや不自然な引き出しの記録などが証拠となります。
5.相続廃除により相続権を失った場合
相続廃除とは、著しい非行や虐待などにより、家庭裁判所の判断で相続権をはく奪される制度です。
■対処法なし
相続廃除が確定すると、相続権を回復する方法はありません。ただし、廃除された人の子や孫には代襲相続の権利があります。
相続廃除の具体例には、被相続人への日常的な暴力、介護の放棄、重大な犯罪行為、反社会的勢力への加入などがあります。
6.相続欠格により相続権を失った場合
相続欠格とは、相続に関する不当または不正な行為により、法律上自動的に相続権を失う制度です。
■対処法なし
相続欠格に該当すると、自動的に相続権を失い、回復の余地はありません。ただし、欠格者の子や孫には代襲相続の権利があります。
相続欠格の具体例には、被相続人または先順位相続人の殺害(未遂を含む)、被相続人殺害の非告発、遺言に関する詐欺や脅迫、遺言書の偽造、変造、破棄、隠匿などがあります。
相続に関するお困りごとがあれば、当事務所にご相談ください
遺産相続において遺産をもらえない状況に直面した場合は、その原因を正確に把握し、適切に対処することが重要です。特に以下のようなケースでは、お早めに弁護士に相談されることをおすすめします。
・遺言の内容に不審な点がある
・生前贈与の詳細が不明確
・他の相続人との話し合いが難航している
・遺産の隠匿や使い込みが疑われる
・相続廃除や相続欠格の可能性がある
当事務所では、相続問題に関する豊富な経験を持つ弁護士が、依頼者様の状況に応じた最適な解決策をご提案いたします。遺産相続で困難な状況に直面した際は、一人で悩まず、当事務所にお気軽にご相談ください。